「官VS民なんぞ、みみっちぃ戦いだ!」"北海道日本ハムの球場移転"は、世界のなかの日本プロ野球にできるのか?


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【はじめに】

この記事は、私「北のウォーリー」こと片岡慎悟のコラムです。

10年来日本ハムを応援し、小学校以来プレー歴15年を数える私の観点から書きます。

もし興味が出てきたら右の記事も見ていただけると嬉しいです!

 

2016年5月24日、全国各紙で以下のようなニュースが飛び交いました。

これからの自治体と、スポーツの在り方が問われる一大トピックです。

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 日本ハムが新球場計画 収益力強化狙う

プロ野球北海道日本ハムファイターズが新球場を建設するため、候補地の調査を進めていることが23日わかった。自前の球場を持つことで収益力を高める考えだ。 同球団は球場を運営する第三セクターの「札幌ドーム」(札幌市)に使用料などを年約15億円支払っており、負担になっていた。2016/5/24付 日本経済新聞 朝刊より

 

 地域のプロスポーツが盛り上がり、どうすれば球団も、応援者も、自治体も共存共栄できるかの興論としてシェアします。

 

 

北海道日本ハムファイターズ(通称:「日ハム」「ファイターズ」)って?

いちおう知らない人のために書くと、北海道で有名なプロ野球の球団です。

 

二刀流の大谷翔平選手や、日本代表の4番(?)中田翔選手、「ハンカチ王子」で一世を風靡した斎藤佑樹選手で有名です。

ちょっと前だとメジャーリーガーのダルビッシュ有選手や、ファッション・アートの世界でも有名な新庄剛志(SHINJO)氏もいた球団です。

 

目立ち過ぎはしないけど、人格・外見ともに素晴らしい選手が多いです。

最近だとオシャレな、カッコイイ選手が増えているので、公式本がどんどん販売されてますよ~。ポチッとどうぞ。

 

 

 

 

 

ちなみに海外支援にも積極的で、アフリカの「ブルキナファソ(共和国)」の野球を支援しています。http://www.fighters.co.jp/news/detail/6021.html

 

高知ファイティングドッグスサンホ・ラシィナ選手もこの支援を受けてレベルアップし、ファイティングドッグスに入団した経緯を持っています。

hiroki-0410.hatenablog.com

 

他球団に比べて、高すぎる「球場使用料」

さて話を戻すと、「日ハム」は札幌ドームを借りており、一試合ごとに球場使用料を払いながら試合をしている状況なのです。

 

その札幌ドームを貸しているのは誰か?

株式会社札幌ドームという、北海道の財閥や、札幌市が出資した第三セクターが運営しています。

 

 

日ハムの球団経営を圧迫する旧態依然の壁

THE PAGE 5月23日(月)12時0分配信

 日ハムが本拠地としている札幌ドームが、この4月1日から使用料の値上げに踏み切ったのだ。消費税分の値上げだが、1試合の使用料が4万人の動員でおよそ1600万円に設定されているのでオープン戦も含め年間に70試合ほど使用し、この料金だけで9億円ほど支出していることを考えればバカにならない金額である。

 札幌ドームは2001年に開業、2004年から日ハムが東京ドームから本拠地を移転してきた。

施設は札幌市が所有し、札幌市と道内財界各社が出資する第三セクター・株式会社札幌ドームが運営管理を行っているが、出資比率から考えると、実質、札幌市が運営している自治体の“ハコモノである。

ー問題は、この基本使用料だけではなかった。日ハムはドームがコンサートやイベントなどで使用される度に日ハム側が資金を出したフィールドシートの撤去、設置を余儀なくされ、ドーム内のトレーニング施設の器具なども、すべて片づけなければならない。

 

 試合のために札幌ドームを利用、また設備を再設置するたびに「細々と日本ハムが費用・コストを支払う」という非常に面倒な状況が続いていたわけです。その度に人的コスト・金銭コストを支払うのですから、大変な訳です。

 

 

 それらの経費だけでなく、警備費、清掃代なども球団持ちで基本使用料とは別に年間15億円ほどをドーム側に支払っている

 しかもドーム内の飲食店の運営、売上げは、すべてドーム側。グッズに関しても、広島のような直営ではなくドームに卸す形態。また広告看板代に関しても球団が、2億5000万円で買い取っている。

 つまり年間、約26億5000万円をドーム側に支払っていることになるのだ。日ハムの年俸総額は、27億円超。ドームにかかる費用と、ほとんど変わらない。

 

ある関係者が言う。

「極端な話を言えば、ドーム側が理解を示してくれれば、球団経営は本当の意味で黒字化して、ダルビッシュや糸井(嘉男、現在オリックス。当時2億円以上かかる年俸やチーム再編成のために放出したと言われる)

を簡単に出さなくて済んだのかもしれない。もっとチーム強化にもお金をかけられる

 実は日ハムは、本社からの年間27億円に至る広告宣言費の補填を受けているが、このお金がなければ、単体では赤字経営である。その経営を圧迫しているのが、この球場問題なのだ。

 それに加えて、選手年俸と同じくらいかけていた球場使用料(約25億円)が更にかかるわけです。球団「北海道日本ハム」も「本社日本ハムからの補填を全く受けない経営」 目指しているわけですから、広告宣伝費なしに独立経営を成し遂げるのはほぼ不可能な状態なのです。

 

官VS民で利益の引っ張り合いはもはやコストだ

 

「使用料を一試合あたり◯◯万円に…」なんて調整なんてもはやくだらん争いなんですよ。「交渉で時間やら食うんだったら、自前で建設や企画できる環境を作った方がよっぽどいいな」

「利益をちゃんと出し、お客様に喜ばれるモノを提供できる体制を作る」ことが会社の使命なのですから。

既に今年、先例が出て来ました。球場使用料を削減するために「横浜スタジアム」を買収した横浜DeNAベイスターズの例です。

 

横浜も経営権がDeNAに移る前までは、チケット売り上げの26パーセントを球場側がとっていて、球場は黒字なのに球団が赤字というアンバランスな経営形態が続いていた。

 だが、球場の経営権をM&Aで取得したことで経営ビジョンは大きく変わった。早速、球場内の様々な独自メニューやクラフトビールまで発表したのは、やればやるだけ実入りとなるからで、球場と球団の一体化経営のたまもの

 なにより、ファンも観戦時の楽しみが増え、重要なファンサービスが充実していくことになる。横浜DeNAには、壮大なボールパーク構想があって、今後、球場も斬新なものに生まれ変わる

日ハムの球団経営を圧迫する旧態依然の壁 「THE PAGE」 より

 

 ファイターズは、歴代の球団社長がスポーツビジネスのノウハウに篤い方が居たお陰もあり、日本随一のアイデア・ビジョンを持っています。

 しかし、主要球場の札幌ドームにはお金を掛けられず、二軍施設の「千葉県・鎌ヶ谷」に投下している状況です(実際のところ、徒歩圏内で練習施設、寮が整っており、ファンもテラスや畑を楽しめ、夏にはプールに入ることもできるくらいです)。

 日ハムも、メジャー式の営業ノウハウは持っていて、本来ならば、球場、球場周辺の開発も含めた「ボールパーク化計画」を進めたいのだが、実質、行政が持っているドームの旧態依然とした“官僚的な壁”にぶつかって、球場の改装も球団主導では進まず、せっかくのノウハウを使うに使えないのが実情で、メジャー型のボールパーク化へのトレンドからは立ち遅れている。そして球団経営さえ圧迫されている。

日ハムの球団経営を圧迫する旧態依然の壁 「THE PAGE」

 

北海道日本ハム独自の出店が認められない問題は、何年も前から叫ばれていました。

注目の新人、日本ハム斎藤佑樹が先発した(2011年)7月中旬のデーゲーム。札幌ドームは満員の4万2000人で沸いていた。この観衆が球場で飲食をすれば、本来は球団も大きな収益を上げられるはずだが、実はドーム内のどこを見渡しても、日本ハム球団の直営店はない。

 

直営店があったのは球場の外。三塁側の後方入り口近くに横付けされた、ヘルメットアイスを売る1台のトラックだけだった。(中略)

1試合平均で1000個以上売れ、試合中も球場の外にできる列は絶えない。しかし、売り場はあくまでも外。列に並ぶと雨にぬれることもある。


なぜ、こんな販売形態なのか。

「球場内での販売主は公募で選ぶが、日本ハムは過去の実績などの査定で落ちた。移動販売車は特例です」と株式会社札幌ドームの専務、島津貴昭(59)は説明した。球場で売る商品を決めたり出店許可を与えたりする営業権は、札幌市と地元企業が出資するこの会社が握り、球団の収入への貢献は小さい。一方、球団の支出は年俸に次いで球場使用料が大きい。日本ハムは1試合平均1000万円以上、年8億円前後を支払う。

朝日新聞GLOBE|プロ野球ビジネスどこへ -- 日本/プロ野球

 

 

より多くの影響力を呼び込める一軍・札幌よりも先に、

育成施設の千葉県・鎌ヶ谷にある「鎌ヶ谷スタジアム」が先に色んな施設・イベントを楽しめる「ボールパーク」になったわけです。

www.fighters.co.jp

 

せっかく観光都市として、食べ物もおいしいというブランドが確立されているのに…

これって非常に勿体ないことではないでしょうか。

 

 

第三セクター「札幌ドーム」その経営権を持つ「札幌市」はどう出るか?

これで、札幌市(市が経営権の一部を持つので、「株式会社札幌ドーム」も一括りにします)がどう出るのか?

 日本ハムにとっては、入場者数は200万前後と、決して伸びしろは大きくありません。

 

成熟期が近づいており、

「どう一人当たりの単価を上げるか?」

「長期的な関係を築くための、コンテンツ製作をどうするか?」

「県外・国外のファンを獲得するには?」

が主題となっています。

 

「フロー」(一期間での収益)が大事になっているわけです。

 

 対して、札幌市のビジネスモデルは「ストック」型。

どれだけ試合数を取れるか、観客を呼び込めるか?が主になっていて、この点で日本ハムと札幌市とで噛み合っていない状況なのです。

 

これが自前球場の建設・移転されてしまうと、オンシーズンの春~秋にもかかわらず、使用料が得られなくなります。

赤字化して、株式会社を維持するための費用が札幌市から捻出される…

 

札幌ドームが年間を通して殆ど使われなくなってしまう「墓標化」するリスクもあり得るわけです。

 

札幌市からすると、完全撤退されると困るわけですから、いまの契約条件から大幅に引き下げてでも中長期的な契約関係を結ぶ必要性があるわけです。恐らく、「収入0よりマシだな…」という譲歩した対応を取らざるを得ないはずです。

というよりも、互いに折衷案で結論づけばよいのですが。

 

ニュースにも「資金で難航」なんて書いてありますが、お金の問題はクラウドファンディングやらで五十分に賄えるでしょう。実現可能性はともかく、実現できたらポンと何十億くらいは集まるじゃないですかね。それだけ、日本ハムの構想には期待されているわけですし。

 

MLBを上回る”ボールパーク構想”だってできるのに…

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この球場を中心に、様々なアトラクションや文化を楽しめるボールパーク構想を各球団は持っています。この概念を下記サイトより引用して説明します。

 

野球が大好きな人はもちろん、プロ野球をライブで楽しんだ経験のない人まで、家族や友人や同僚と、気軽に皆で集まって楽しめる場、

地域や職場における様々なコミュニティが”野球”をきっかけに集い、集まった人たちが”野球”をきっかけにコミュニケーションを取れる”地域のランドマーク”になりたい。 

 

「コミュニティボールパーク化構想」はプロ野球を通じた、「まちづくり」プロジェクトである"I ☆ YOKOHAMA"のビジョンを具現化する活動です。

横浜スタジアム 「コミュニティボールパーク」化構想

 

 つまり、各球団が所有する球場、かつその周辺地域を"拠点"としての役割を持たせるわけです。

こうして、「地産地消」「コラボレーション」のアイデアを打ち出し、

地域の結びつきを強めるわけです。

 

 

MLB(メジャーリーグ)に並べるような、ショービジネスの先駆者に成って欲しいからこそ、決断してほしいと願う。

 こんな官VS民を繰り広げる合間に、1990~2010年にわたって規模を拡大し続けたスポーツビジネスがあります。アメリカのメジャーリーグ(MLB)です。

「現在のMLBは最盛期を迎えていると考えている。この7年間観客動員は毎年7300万人を超え、収入も過去最高で、バド・セリグコミッショナーに就任した1992年と比較すれば約6倍に達している

 

「たとえば球場によってはスマートフォン1台あれば、チケットからビール、ホットドッグの購入まで瞬時にできるようになっている。それはホテルや航空会社と同じだ。空席や空き部屋を無駄にしないようにあらゆる努力をする。我々もその努力を惜しまない」MLBジャパン代表 ジム・スモールのコメント

Number「赤字に苦しむ日本球団と何が違う?史上最高収益に沸くMLBの経営術」より

 

 

 日本独自の文化(選手個人につく応援歌、ラッパ太鼓を使った応援や、地産地消、地域密着型イベントetc…)として、アジアの文化のハブとして、欧米の野球文化と対等以上となれるチャンスなのです。

 しかし、行政と一悶着しつづける状況が続けば、気付けばアメリカメジャーリーグ(MLB)とのパイの奪い合いになっていた…なんていう状況が起こるかもしれません。

 

大局的に見て、世界とのえげつない”マネーウォーズ”になる前にブランドを確立する必要性…そんな局面を迎えているからこその「日本ハム球場移転」ニュースなのだと実感します。

・参照サイト 

安定的な収益確保に必要な、スタジアムの運営【前日本ハム球団社長・藤井純一氏#5】 | ベースボールチャンネル(BaseBall Channel) - Part 2

 

・参照書籍

 

監督・選手が変わってもなぜ強い? 北海道日本ハムファイターズのチーム戦略 (光文社新書)

監督・選手が変わってもなぜ強い? 北海道日本ハムファイターズのチーム戦略 (光文社新書)

 

元・球団社長が手がけた1冊。現在の北海道日本ハムが創られるまでのエピソードがありありと語られる。球団経営に携わった、キーマン達にも注目したい。

 

 

 

 

 

BALLPARK

BALLPARK

 

 先述の「ボールパーク構想」を打ち出した、横浜DeNAが"書籍"としてそのメッセージを発信。

美しいポートレート集のようなグラフィックに、DeNAの先駆性を感じました。